活動報告(令和4度女性医師支援・ドクターバンク連携 北海道・東北ブロック会議)

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令和4年度女性医師支援・ドクターバンク連携 北海道・東北ブロック会議

 標記会議が令和4年10月29日(土)に本会担当で山形市の山形グランドホテルで開催されました。
 本会議は、都道府県医師会と日本医師会女性医師バンクが連携し、地域の実情に合った就業斡旋を行うため、関係役員が意見交換を行い、更なる連携強化を図るとともに、女性医師の再研修、キャリアアップ支援の充実を図ることを目的としております。
 今回のテーマは「医師のキャリアアップ支援と医師確保の取り組み」でした。
 山形県医師会 間中英夫副会長より開会の挨拶、日本医師会 角田 徹副会長より、「今後、医師の働き方改革が進む中で、医療機関における医師確保は大変重要な課題となる。各都道府県医師会で運営しているドクターバンク事業、そして、日本医師会の女性医師バンク事業がさらに連携し、地域の医師確保の一助となるよう更に事業を進めてまいりたい」との挨拶がありました。また、山形県医師会 中目千之会長より、「本県は医師少数県であり、医師確保については喫緊の課題である。本日のブロック会議を通して課題を抽出し、各道県に持ち帰り、引き続き女性医師の支援、更には医師確保による地域医療の構築への貢献に繋がるよう期待する」との挨拶がありました。

  

 以下、議事の内容です。
 

議 事
(1)日本医師会女性医師支援センターからの報告事項について(資料はこちらをクリック

〇日本医師会女性医師支援センター
・女性医師バンク事業
 職業紹介事業の他、女性医師のための相談窓口、広報、実情調査をおこなっている。
・キャリアパス
 事業としての中身がまだまだ整っていないため、今後しっかり構築していく。         
・再就業講習会事業
 医学生・研修医等をサポートするための会、地域における女性医師 支援懇談会、託児サービス併設費用補助を行っている。女性医師の勤務環境の整備に関する病院長、病院開設者・管理者等への講習会については、働き方改革の議論に集約するため、令和3年度は休止していたが、今年度より再開予定。

〇医学生、研修医等をサポートするための会 開催状況
・医師会主催だけではなく、医学会、医会の主催もあり、最近では大学が関与する開催も増えている。
・大学の講義の枠で、医師会活動や地域医療について紹介する県が多くなっている。

〇地域における女性医師支援懇談会 開催状況

・補助金も活用しながら、ぜひ開催いただきたい。(少人数での開催でも可)

〇女性医師バンク実績報告
・令和3年度の就業成立件数は843件となっており、かなり増加している。要因としては、新型コロナワクチン接種のためのスポット採用である。
・就業成立件数は、登録者数の14%ほどでしかないが、紹介した人の80%は成立している。これはどのようなことを望んでいるかを丁寧に聞き取り、マッチングしているからである。
・国から「男性医師もきちんと紹介するように」との意見もあり、事業目的の方に、「男性医師も含む人材確保」と記載している。

〇その他   
・今後もキャリアプランだけではなく、ライフプラン、ファイナンシャルプラン(医師年金の紹介等)についても日本医師会が寄り添っていきたいと考えている。

(2)「医師のキャリア支援と医師確保の取り組み」(資料はこちらをクリック) 

   グループディスカッション ※医師会としてどのような支援ができるのか
    ①世代別のキャリア支援の検討(勤務する医師側への支援)
    ②医師確保支援の検討(求人医療機関側への支援)


《グループ発表》

Aグループ 
・託児の問題(地方の病院は充実していないところが多い)
・キャリア形成を考えた時に、地方の病院でもしっかりとした教育が受けられるよう整備が必要。その結果、医師の定着も期待できる。
・子供の看護が急に必要になった時のバックアップ体制の整備。                                                                                                                                                                                                          
 →急遽休まなければならなくなっても、代替医師を斡旋してくれる機関
・シニア世代の方々への支援
 →山形大学のリフレッシュ医学教育の活用

  

Bグループ
・既存相談窓口をさらに充実させる。
 →アプリ等を活用して相談できるようなシステムの導入
・北海道、東北ブロックの女性医師が、気軽に情報交換や悩み相談ができるようなシステムの構築。
・例えば、専門医資格がない人や離職した人へ、サブスぺを紹介するようなシステムが医師会にあると、より女性医師のキャリアが継続される。
・医業承継支援で、後継者不在の医療機関に対する支援。(秋田県医師会実施中)
 →高齢になったが地元のために医院を継続したい医師と、開業したい医師をマッチングサポート
・勤務病院とスタッフを繋ぐIT化
 →女性医師のキャリアサポートもできるし、北海道・東北特有の通勤が困難なへき地病院でも勤務が可能。医師の偏在対策に繋がる。

  

Cグループ 
・大学が行っている女性医師支援の活動に医師会として参加し、より支援の幅を広げる。
・病院訪問等を積極的に行い、病院長、女性医師、若手医師、研修医等を交えて意見交換をし、課題や情報の吸い上げ。
・医師を必要とする病院と医師を派遣する大学病院との橋渡し的な形で医師会が係わっていく。
・自分が働きたいと思う条件が、どの病院でそれが実現できるか、もっと簡単に知ることができるような、情報提供の援
助やシステムの構築。
・セカンドキャリアとして、退職はしたけど、例えば検診センターや希望に合いそうな医療機関の情報等を積極的に提供
して、その人に合った働き方ができるように、医師会として橋渡しを担う。


《意見交換》
・お互いの県でどのような支援があるのかわからないことも多く、まだまだコミュニケーションが足りないと感じた。北海道・東北ブロックで情報を共有して、もっと気軽に情報交換ができるシステムなどを構築できれば、もっと発展していく。
・女性医師のキャリア形成は、様々な個人の医師に対して、オーダーメイドの支援が必要になるのではないかと感じた。地方の女性医師に関しては、病院の外来とか病院業務だけでなくても、例えば学校医、産業医、検診、検案、 警察医などの仕事もあるので、そのような仕事の紹介も医師会でできたらと思う。
・研修に来る学生も研修医も、女性医師が明らかに増えており、女性医師の働き方等に関する問題については、病院だけで対応するのは不備があり、是非医師会等も積極的にサポートするのが良いと感じた。ただ、女性医師のための、相談・悩みに対応できるシステムがあるということを、知らない女性医師がたくさんいると思うので、いかに知ってもらうかが重要だと思う。
・2022年の10月から男性が子の生後8週間以内に4週間まで休業を取得できる「出生時育児休業」制度が導入された。女性医師だけ育児休暇を取得するのは難しいこともあるので、男性医師にも育児休暇を積極的に取得するように各病院長には促してほしい。また、今、日本で一番の問題は、少子高齢化であり、そこからいろいろな問題が発生している。女性医師だけに限らないが、妊娠・出産をする女性サポートする体制が、日本全国でまだまだ他の国と比べて希薄ではないかと感じる。

  

  

 

《総 括》
・ライフステージに応じた支援が重要として、もちろん大事なのは女性医師支援だが、男性に対しても、育休を取得させなくてはならない。つまり平等なシステム、状態を構築しなければならない。日本医師会としても、女性医師に限らず、男性医師を含めたすべての医師に対しての支援について、しっかりと検討していきたい。

・今後は、国の大枠の方向性のことと、それぞれの医師会が地域をがっちりと固めていただくということの両面で考えていきたいと思っている。女性医師支援は、今後の日本の医療、あるいは先ほどから話題になっている少子化問題に繋がっていくので、きっちりとサポートできるシステムを作り上げていくことがとても大事な点だと感じている。これからも、今日参加いただいた皆様には深く関わっていただきたいと強く思っている。

  

《次年度開催担当県の選出について》 
   福島県医師会が担当開催県に決定