インタビュー(日本海総合病院:阿蘓里佳先生、渋谷りか先生)

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日本海総合病院 消化器内科副部長

阿蘓 里佳先生(右)

日本海総合病院 消化器内科医長

渋谷 りか先生(左)

 

Q 医師を目指されたきっかけは。

阿蘓先生

 シュバイツァーの伝記を読んで医者になろうと思いました。青年海外協力隊も考えましたが、最終的には、山形での地域医療を目指して、消化器内科にしました。

渋谷先生

 祖母が大腸がんで亡くなったのをきっかけに医者になりたいと思いました。

 

Q 渋谷先生は現在お二人のお子様がいらっしゃいますが、利用した病院の支援制度や現在の勤務状況を教えてください。

渋谷先生

 上の子は幼稚園に通っていて、下の子は院内保育所を利用しています。1人目のときは育休をとりましたが、2人目の時は非常勤からの妊娠・出産だったので、一旦退職という形をとりました。復帰当初は、週2日で働いて、今現在は週4日で週31時間勤務の短時間正職員制度というのを利用させてもらっています。当直も免除してもらい、時間外も基本的になしで勤務させてもらっています。他の先生が忙しくしているときにほぼ定時で帰って申し訳ない気持ちはありますが、周りがいい先生方ばかりで本当にありがたいです。

対談(阿蘓先生・渋谷先生)阿蘓先生

 私たちは何も気にしてなくて、週1日、2日でも来てくれるだけで助かっています。お子さんがいれば保育園のお迎えもあるので、時間で帰らなければいけないのは当然だし、時間できちんと上がれる勤務体系にしてもらった方が、私たちも割り切って仕事ができるので、すっきりする気がします。

 

Q 妊娠、出産、育児で医療現場を離れること、また復職への不安はありましたか。

渋谷先生

 例えば、妊娠してレントゲン業務に入れない、手技がこなせないなど、周りから置いていかれているという気持ちはありました。同期が大学院に入って博士をとったりすると、最初はすごく比べてしまって、焦りもたくさんありました。でもある程度時間が解決してくれて、周りとあまり比べないことが大事かなと思うようになりました。

 胃カメラや大腸カメラは体がなんとなく覚えていて、全然出来なくなるということはなかったんですが、薬や治療方針などは日々変わってどんどん新しくなるので、復帰した時はわからないことがたくさんありました。休職中は子どものことで精いっぱいで、なかなか勉強する時間もなかったので。今は、周りの先生などにどんどん聞いて教えてもらっています。

 

Q 家庭を持ちながら医師を続けることに周囲の理解や助けはありましたか。

阿蘓先生

 私の夫は医療従事者ではないので、医師の仕事を理解するのは難しいんだろうなと思っていました。でも、結婚する時に「仕事と家庭を両立できなかったら仕事をやめると」言ったら、夫から「医者が1人やめるということがどれだけの社会的損失になるのか、医者を1人酒田に連れてくるということがどれだけ大変なことか、よく知っているつもりだ。何かあったら自分もがんばるからやめないでほしい。」と言われ、どんな形でもいいからこの仕事を続けようと思いました。家事の面でも協力してもらっているので、ありがたいと感じています。

渋谷先生

 子どもが急病のときは、実家の都合があえばお願いしたりしています。あまり具合が悪いときは早退したりお休みを頂いたり、軽い熱のときは病児保育を利用することもあります。夫も医師で忙しいのですが、可能なときは手伝ってくれるので助かるなとは思います。

 

Q 学生のころ将来プランはありましたか。

阿蘓先生

 プランは一切ありませんでした。働き始めてからは、とにかく転勤して仕事して、転勤して仕事してという感じで、その頃は結婚とか考える余裕もなくて。大学に戻ってちょっとだけ余裕ができ、縁あって結婚できたかなという感じでした。

渋谷先生

 私は結婚の時期だけはプランがあって、できれば20代のうちに結婚・出産したいなと思っていました。それ以外のことはノープランで、専門医とかも時期など考えてはいなくて、実際流れでという感じでした。ちゃんと考えとけばよかったかなとは思います。

 

Q 女性医師が働き続けていくためのメッセージを頂ければ。

阿蘓先生

 仕事もしながら家庭を持ちたいと思っているのであれば、あきらめないことです。結婚したらどうなるのだろうと不安もいっぱいあると思いますが、悩んだらその都度、職場に相談していけば何かしらの解決策はあるし、大学の医局でも様々なサポート体制をとっています。だから人生についてもっと貪欲に生きてほしいというか、もっと人生をエンジョイして欲しいのです。

 出産・育児であったり、大学院に入って臨床から離れたりと、医師としてのブランクがあったとしても、その分違う知識が増えて人生の幅が広がります。充実した仕事ができるかどうかは、その人のモチベーション次第だと思います。ちょっとでもいいから続けていくことが、自分のためにも社会のためにもなるのではないでしょうか。

渋谷先生

 子育てしながら仕事を続けるなら、謙虚な姿勢と、細々と続けていくのと、周囲とあまり比べすぎないのが大事なのかなと感じています。子育ては結構大変なので、誰もが常勤で当直もして子育てもしてと、仕事と子育てを完璧に両立できる人ばかりではないので、夫なり、職場の先生なり、周りの人と相談して、自分にあった働き方をどうにか模索していくのがいいのかなと思います。