活動報告(平成30年度日本医師会女性医師支援センター事業 北海道・東北ブロック会議)

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平成30年度日本医師会女性医師支援センター事業 北海道・東北ブロック会議

 標記会議が平成30年10月20日(土)に仙台市のホテルメトロポリタン仙台で開催され、山形県医師会からは、神村副会長が出席しましたので、当日の内容をご報告いたします。
 本会議は各道県の女性医師支援の取組みについて発表するとともに、女性医師が働きやすい勤務環境になるよう議論を行う会議となっております。
 はじめに、宮城県医師会高橋女性医師支援センター長より開会の挨拶があり、次に日本医師会小玉常任理事より、「北海道・東北ブロックは、深刻な医師不足が起因する医師の偏在、診療科の偏在に悩まされている。この問題の解決には女性医師支援活動を活発化させることが必要である。女性医師の活躍は現在の少子高齢化社会において医療を望ましい方向へ発展するために必要不可欠である。その実現のため、北海道・東北ブロックの各医師会においても今後ともより一層のご協力を賜りたい。」との挨拶がありました。また、宮城県医師会佐藤会長より、「本会議は日本医師会の女性医師バンクを含む、女性医師支援センター事業を継続発展させていくため、各地域からの声を聞くとともに本事業へのご理解を深めてもらう双方向による情報交換の機会として、平成21年度より道県持ち回りで開催しており、今年でちょうど10回目の開催となる。本日も各道県より、特色ある報告がされることと思うので、ぜひ実りある会議になりますよう、よろしくお願い申し上げる」との挨拶がありました。

 以下、議事の内容です。

 議 事  

(1)日本医師会女性医師支援センター事業について
 日本医師会女性医師センター事業について説明。平成28年以降、専属のコーディネーターを常駐させてから成立件数も増加し、平成29年度は前年度に対し、約2倍弱の就業成立件数となった。30年度は170件の就業成立件数を目標としているとの報告があった。

(2)各道県における取り組みについて
北海道
・勤務への支援、医師の就労環境改善・働き方改革等の推進、医療関連専門職種団体への協力と連携について説明。
・相談内容の事例、復職サポート事業について説明。
・若手医師自らセミナーを企画し、開催した。
Q.きめ細かい就業に結び付いているが、相談にあたるのは誰か。
A.電話、メール等でまず相談がくるので、最初は事務局が対応している。育児登録や就業先の相談であれば事務局が繋げるが、先生との面談が必要であれば、先生に相談してもらうようアドバイスしている。
Q.若手医師への取り組みだが、若い先生方が自主的にセミナーを企画し開催しているということが大変参考になったが、最初はどのようにして若い医師たちを参加させたのか。         
A.最初は日本医師会の医学生サポート事業で医学生を集め、こちらから一方的に話題提供をして、それについてディスカッションをしてくださいとの形式であった。しかし、たまたまJDNの中心になっている先生が北海道で研修を受けていて、先生に相談したところ、医学生が自分の意見を出せる形式の方が良いのではないかとのことで、最初は先生を中心に始めて、今はその形式が受け継がれている。また、ライングループを作成しており、医師会からは事務局が登録して、何かあれば事務的なことはサポートしている。

青森県
・女性医師だけでなく勤務医のワークライフバランスの改善や就労支援の施策を検討。
・ワークライフバランス推進室を置き、「赤いりんご」と称しニュースレターを送付しており好評である。
・大学との連携強化を図るため、男女共同参画委員会委員長に弘前大学医学部長が就任した。
意見.基幹病院の訪問とあったが、宮城県医師会では、医師だけではなく看護師及び事務局の方々にも時間を取ってもらい、話合いをして、そこで働いている若い先生、特に女性医師にどのように出産して、どのように子育てしながら働いているかを発表してもらう。そうすることで院内の事情を共有することができ、大変評判が良い。管理者とだけ話合いをするのではなく、たくさんの部門の人と話合いをした方が良いと思う。
意見.大学病院の紹介をさせてもらうと、大学には女性医師支援推進室があるが、女性医師を応援しようとのことで、病院長がトップダウンで、総務課の事務に手配してもらい、メンバーを集めた。趣旨を聞いた女性医師はありがたいと思い、医師たちが集まってくる状況だった。
意見.会内で取り組み方は色々あるが、女性医師支援委員会、男女共同参画委員会、勤務医委員会等連携しながらやっていけば良い。他の委員会と連携するのは非常に良いと思う。

岩手県
・研修医が研修終了後、他県に就職してしまい、半数以上が医師会を退会してしまうことが課題である。
・離職した、または離職を考えている女性医師がパートタイム等で上手く働ける仕組みが必要である。
Q.岩手県医師会の女性医師支援について、男性医師である先生が、女性医師支援についてコーディネートしているが、先生自身も何か体験しているのか。
A.妻が歯科医師をしているが、妻のキャリアを守ったかというと、子どもの出産時には二度離職し、私の留学時も離職してもらった。歯科医師は再就職が厳しく、今は各種学校で教育者として勤務している。子育てをあまり手伝わなかった年代ですので、現在は反省点を活かし、このような女性医師支援の業務に従事している。

秋田県
・勤務環境に関するアンケート結果については、許可をもらった病院については病院毎にホームページに掲載。 
・イクボスに関わる啓発活動も検討。

山形県
・山形県女性医師支援ステーション、病院勤務医の勤務環境に関する調査結果について報告。
・女性医師が離職せずに働き続けるには、配偶者の理解や協力、必要時に勤務を交替してくれる人員の確保など、周囲の援助が重要であり、自分自身のモチベーションの維持も必要。
・40代~50代への支援をもっと充実すべきである。 発表スライドはこちら

Q.40時間勤務に戻るために、自分自身のモチベーションが大事であることは理解できる。産科の場合、育休後仕事に戻らなくなるとの報告があり、東京のある病院では育休は3ヵ月で戻すところもある。福島医大では1年間育児休暇があるが、モチベーションと育児休暇の長さとの関係はどのように考えているか。
A.キャリア支援、再教育については山形大学医学部の方でも、昨年あたりから熱心に取り組んでいる。細かいところまで把握していないが、これからという感じだと思う。
Q.週40時間未満勤務の40代は今まであまり気にしたことがなかった。実際はどれくらいの人数がいるのか。
A.実数としてはそんなに多くないが、そこにスポットを当てて支援を充実させ、その次の世代へと繋ぐということも大事なミッションだと思う。
意見.医師会員には声が届くのだが、医師会員以外、学会すら辞めてしまう医師にアクセスする手段がない。そこが一番の問題点で、週40時間未満の非常勤の先生は、おそらく医師会に加入していないし、情報が届かない。県内にいて、資格を有しているのに声を上げられないで困っている、復職したいのにどうしようか、そういった方々と連絡が取れない。そこが一番の問題点だと思う。
意見.先生のおっしゃる通りだと思う。ただ、各県バラバラに発信するよりも、この問題については、日本医師会に投げかけたいと思う。

福島県
・女性医師の勤務環境に関するアンケートを実施する予定。目的としては、子育て世代の医師の勤務実態や、どのような支援を求めているかを把握し、医師支援活動に反映させる。
・イクボス宣言を研修会等で配布。

宮城県
・各地区の病院に訪問し、意見交換会の実施。
・イクボス大賞、特別賞の表彰。

(3)その他
①平成30年度女性医師支援担当者連絡会(平成30年12月9日)における女性医師支援センター事業ブロック別会議の報告について
・青森県医師会に決定

②平成31年度日本医師会女性医師支援センター事業 北海道・東北ブロック会議の開催県について
・青森県医師会が担当開催県に決定

 閉 会 

 ・標記会議に出席して
神村副会長
 各道県医師会の「女性医師支援」の取り組みはこれまで、出産育児などのライフイベントによる就業困難の支援が主な話題でしたが、今回山形県では勤務医アンケート調査をもとに時短勤務からの脱出が困難な中年世代に注目しました。これまで取り組んでこなかった新しい視点に、他県からも関心を持たれたと思います。今、各県はこれまで共同参画ムーブメントを引っ張ってきた先輩女性医師がリタイアする時期に差し掛かっています。次の女性医師役員が輩出されない県もあり、やはり次世代へのアプローチが今後の課題でしょう。医療界だけでなく多くの分野で女性リーダーが必要とされ、それぞれ育成に力を注いでいます。医師会は日本の医療の将来像に責任を持とうとする団体です。日本の将来に目を向けようとする仲間を求めています。