インタビュー(香音クリニック:今井 香織先生)

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香音クリニック (新庄市)

今井 香織先生

 

Q医師を目指したきっかけを教えてください。

 中学生の頃に国境なき医師団のドキュメントを見て、世界で活躍する日本人に感銘を受けたことがきっかけです。

Q学生時代の思い出を教えてください。

 山形東高等学校から沖縄の琉球大学に進学しました。15期生ですが山形出身は多分初めてだったと思います。環境の異なる場所への憧れが大きかったです。入学して最初に驚いたのが新入生のオリエンテーションで、約100名がフェリーで離島まで行き、キャンプファイヤーをしたりと、雪国から行った私にはとても衝撃的だったのを覚えています。
 また、大学病院が高台にあり、病室から沖縄の青い海が見えてとても良い場所でしたし、授業が終われば友人たちと海で過ごすことも多かったです。学生生活を送るには最高の場所でしたね。

Q研修医時代のことを教えてください。

 北海道大学の免疫・代謝内科学教室(旧;第2内科)に入局しました。私が研修医の時代は入局して多科をローテートする形で、札幌、函館、帯広で救急から消化器、呼吸器、循環器、神経内科すべてを研修して自分の医局に戻るという感じでした。特に市立函館病院の救急科の時は、救急車が1日に50台くらい来たこともあり、そんな研修医時代の経験が内科医としての基礎になっていると思います。 その後、結婚を機に東京医科歯科大学の膠原病・リウマチ内科に移りました。

Qリウマチ科を選んだきっかけを教えてください。

 学生の頃に診た患者さんがきっかけでもあります。自己免疫といって自分を攻撃する病態に興味を持ったことと、頭のてっぺんから足の先まで全身を診る科で良いなと思いました。あとは、尊敬する先生との出会いがあって、そのままリウマチ性疾患について勉強したいと思ったことですね。
 慢性疾患なので、患者さんの人生に寄り添って診療を続ける科であることも惹かれた理由です。

Q勤務医時代の子育てについて教えてください。

 復帰にあたり保育園を見つけること自体大変でした。いざ預けてみると、熱が出れば1時間以内に迎えに来てくださいということが普通だったので、とても大変だったのを覚えています。子供が熱を出したときは、新庄の母にすぐ連絡してその日の新幹線に乗ってもらい1週間くらい看病してもらうこともありました。教授や医局のご配慮で、子供が産まれてからは膠原病・リウマチ内科に併設していた寄付講座の薬害監視学講座で臨床研究と診療をするという部署に入れていただいていたので、当直はなく、病棟勤務担当以外は夜も遅くならずに帰宅できていました。また、同業である主人が保育園の送迎から家事まで、かなりサポートしてくれました。

Q新庄(最上地域)に開業しようと思った理由は何ですか。

 膠原病リウマチの専門医は山形県ではとても少なく、生まれ育ったところで専門性を生かして地域医療に貢献したいという考えももちろんありましたが、子育てにもしっかりウェイトを置きたかったので、子供をできる限り自分の手で育てながら内科医師を続けるということを考えたときに、実家近くで開業する選択をしました。また、子供が小さいうちは自然の中で子育てしたいと思っていたので、良い環境で生活をしていると実感しています。開業当初は患者さんも数える程度でしたし、お茶をしながら「今日は一人も来てないね。」みたいな感じから始まりました。今はおかげ様で、最上地域に限らず、県内各地域、秋田の湯沢からも患者さんに来ていただいており、自分の専門を活かせる働き方ができて良かったと思っています。
 主人は、今は単身で関東にいて、土曜日にこちらで形成外科の診療をしながら週末は新庄で過ごすというスタイルですが、主人に理解と協力をしてもらわないとできないことだったので、本当に感謝しています。

Q休日はどのように過ごされていますか。

 休みの日はできる限り家族と過ごしています。コロナウイルス感染症が流行する前はよく子供と関東の主人の家に行って気分転換をしていました。また自宅で3匹の猫を飼っており、戯れて癒されています。

Q女性医師が活躍するために大事な事は何でしょうか。

 自分のライフスタイルに合った働き方を見つけることが大切だと思います。専門医等はやはり早めに取得していた方が良いですし、医師を続けていくために自分のライフプランを長期的な視点で考えることが大切ではないでしょうか。

Q若手女性医師、女子医学生へのメッセージをお願いいたします。

 その場その場で働き方は変わるとは思いますが、せっかく医師を目指したのだから、どんな形であれ医療に関わって続けてほしいと思います。全部ができるわけではないので、無理をせず、できる形で頑張ってほしいです。
 自分の専門とする科を選ぶ時も、将来を見据えながら選択することをおすすめします。

Q開業を考えている女性医師へのメッセージをお願いいたします。

 かかりつけ医としての役割が格段に増えますし、周りの医療機関と顔の見える連携が大切と思います。リスクの高い治療をしていて、クリニックでは対応できない場合、患者さんを紹介することもあるので、私は週1回近くの総合病院で診療をして、地域の先生方とのコミュニケーションを大切にしています。あとは、専門外のことへの関心は大事だなと実感しています。医療が日々進歩しているので、忙しい中でなかなか難しいことですが、普段からアンテナを立てて情報収集することはとても重要だと思います。

Q将来の目標を教えてください。

 大きな目標はありませんが、初心を忘れずに一人一人の患者さんと丁寧に向き合って診療を続けていきたいです。そして時間の許す限り、患者さんの話をよく聞いて、患者さんに合った一番良い治療を考えていければと思います。これからも専門性を活かしつつ、地域の医療を支えていきたいです。